○Episode2 : “憧れの人

2002年のワールドカップ、皆さんはご覧になりましたか?
私はサッカー好きなので、普段は見ない(見られない)テレビを、努力して見るようにしていました。
色々な意味でのスター選手が出ましたが、その中の1人、トルコのイルハン選手は某FMの番組で人気第1位になるほどの人気者でしたが、ベッカム選手やイタリアの選手のほうが華やかに注目されていましたね。

さて、このイルハン選手を一目見て、Pさんは「なんてステキ!」と一目惚れしました。
ここまではたくさんの女性が経験したことでしょうが、彼女はなんとその後1ヶ月でトルコ語をマスターするまで彼にのめり込んだのです。
イルハン選手とトルコ語マスターの関係ですか?
イルハン選手の詳細な情報はトルコ語のみでしたから、イルハン選手について詳しく知ろうとしているうちにトルコ語をマスターしてしまったのだそうです。
好きこそものの上手なれとは言いますが(ちょっと意味が違う?)……、ファン恐るべし。

そんなPさんの前世の女性(とある王朝の側室でした)、1つだけどうしてもしてみたかった事がありました。
それは、王様の顔を見る、という事です。
『別に話はできなくても良いの、でも顔だけは見てみたい……きっとステキな人に違いないの!』
と、表情を輝かせてウットリしています。
なんてかわいらしい感性でしょうか。

と、そこでPさんはけらけらと笑い出しました。
「今は私(現在のPさん)の意識で話しているんですが、彼女(前世のPさん)が考えている事が面白くて……!」

※催眠状態では、現在の意識がなくなるわけではありません。感覚としては、前世の様子を映画か何かを見るように客観的に感じ取っていて、セラピストと一緒に「ふーん、そうなんだ」と聞いている感じです。
現在の意識と過去世の意識は、セラピストが誘導しない限り、会話をする事はまずめったにありません。何しろどちらの意識も本人なのですから。このあたり、ちょっとややこしいかもしれません。


Pさん、何がそんなに面白いんでしょう?良かったら教えてください。
Pさんはなおもけらけらと笑いながら、
「だって、彼女がウットリしながらイメージしている顔って、イルハン選手そっくりなんだもの!!彼女は、このイメージに本気で憧れているんです。今の私とダブりますよね」
なるほど、確かに現在のPさんもイルハン選手に憧れていますね。
まさか、前世から“イルハン顔”に憧れていたとは……。
「前世の私って、途中から男性と交流しなかったから想像力ばかりが膨らんで、とても面食いだったみたいです」

※前世の彼女はお城のある地方の男性とは、殆ど顔を合わせたことがありません。
何しろ後宮ですから、男性との交流はできなかったのです。
催眠から覚めた後にPさんと話し合ったところ、Pさんの前世が暮らしていた場所は、現在のトルコのあたりだったようです。
前世の彼女の出身地方では、イルハン選手タイプの顔がハンサムとされていたようです。と、Pさん自身が分析してくれました。


……ふと、前世の彼女の意識が私(高橋カオリ)に問いかけました。
『ねえ、どうにかして王様の顔を見るわけにはいかないかしら?』
それは可能ですけど……Pさんは、どう思いますか?
Pさんの意識は、私の問いかけにクスクスと笑って
「ん〜〜〜、でもね、王子の顔は、(お城のある)この地方独特の顔だと思うんですけど、イルハン選手とは似ても似つかない顔なんです……(笑)だから、王様の顔は見ないままにしておいたほうが、前世の彼女も幸せだと思うんですが……」
なるほど、そうなんですか。
私は前世の彼女の意識に問いかけました。
王様に会う前に、王子の顔を見てください。王様に似ているはずですよ。王子の顔を見て王様に会うかどうか考えてください。
私の言葉に反応して、彼女は何かをのぞきこむ仕草をしました。
前世の彼女の意識が、王子の顔を見て王様の顔を想像しているようです。
しばらくすると……

『嫌ああああああああああああああああ!!』
と、前世の彼女が叫び声をあげました。
『いいですいいです、見たくありません!』
前世の彼女は、すごい勢いで王様に会うのを拒否しました。
……Pさんの推理は大当たり。
王様の顔は見ないほうがロマンティックな気分でいられて幸せだと、前世の彼女は理解してくれたようです。

とても純粋で乙女チックな前世の彼女は、そのお礼にとPさんにこんなアドバイスをくれました。
『イルハン選手の記事を訳すために2時間しか寝ないなんて、それはどうかと思うわ。私は呆れるほど時間があったから優雅に好きな事に没頭していたけど、あなたは違うでしょう?ちゃんと寝なきゃダメよ』
私も心の中で、Pさんにはとても良いアドバイスだと思いました。

このセラピーを終わった後、ちょっとした変化がありました。
セラピーをした日の夜から、Pさんのトルコ語読解力がアップした、というのです。
単語の意味は調べないと判らないのですが、文の繋がりかたやニュアンス、そういった『言語感覚』が理解できるようになったのだそうです。
ちょっと単語の意味を調べるだけでスラスラとトルコ語の文章が理解できるようになって、Pさん自身驚いたそうです。

これはオカルト的な現象ではありません。
潜在意識下に眠っていた言語感覚が前世を見ることによって呼び覚まされたのでしょう。
ただ、誰にでも起こる現象でもありませんので、催眠で外国語を勉強するのはお勧めできません。