○Episode4 : 嫌い嫌いも……

前世ウォッチャーPさんにも、現実的な悩みはあります。
Pさんは、研究室にいるAさんとの人間関係の悪さが研究のネックになっている、と私に話してくれました。

Pさんによると、AさんはPさんが特に何もしていないのに、Pさんの悪口をとにかく言いふらしたり、直接嫌味を言ってきたりするそうです。
んもうAさんと一緒の部屋にいるのも嫌、と感じるくらいになってしまったそうです。
確かに、身に覚えの無いことをあれこれと言われるのは、誰でも気分の良いことではないでしょう。
友人だからという点を抜いても、Pさんの肩を持ってあげたい気持ちになります。

ただ、潜在意識の観点から言うと、AさんがPさんに嫌な態度を取るのは、あながちAさんだけに責任があるわけではありません。

世界は空間と時間により区切られているという概念は、私たちにとっては、とても当たり前のものです。
空間により区切られているとすると、私たち一人一人の存在は、全く区切られた孤独な存在だと言えます。
でも、それは3次元だけの特徴です。
そして、私たちの意識は、時間と空間によって区切られてはいません。
私たちは、いつでも過去の楽しい出来事をイメージしてウキウキしたり、悲しい出来事を思い出して涙したりできます。
また、将来のこと……たとえば来週の試験のこととか来月の仕事のこと、あるいは老後の生活のことを考えて、それに備えたり心配したり楽しい気分になったりできます。
また、海外の様子に思いをはせて感情を動かすことも、簡単にできます。
それは、あたかも目の前でたった今その出来事が起こっているかのように、です。
これらは、意識が時間にも空間にも縛られていないから可能なことなのです。

空間が無いならば、ほかの人と簡単に繋がること……できそうに感じませんか?
そう、できるのです。
話している相手が良い気分なのか悪い気分なのか、簡単に感じ取れますよね?
たとえ、相手がどんなに隠そうとしても、それはその場の雰囲気で伝わるものです。
誰にでもある経験だと思うのですが、いかがでしょうか。
そして、相手が気分を悪くしたな、と感じると、なぜか自分まで気分が悪くなったりしませんか?
反対に、相手が良い気分の時は、自分まで気分が良くなったりします。
相手に無関心な場合はそれほどにも感じないのですが、相手に関心があればあるほど(好意にしろその反対にしろ)、どうしても相手の雰囲気に自分の感情が大きく左右されるようです。
そして、この感情が強ければ強いほど、この関係は一方通行には、まず、なりにくいものです。
つまり、相手の感情に自分の感情が強く左右される現象は「お互い様」だということなのです。

さて、Pさんの悩みに、この話を当てはめてみましょう。
そう、Pさん自身がAさんに対して持っているネガティブなイメージが、潜在意識のレベルでAさんを刺激して、事態を更に悪くしていたのではないでしょうか。
ネガティブなイメージを持っていると、ただでさえ疲れます。
しかも、それが相手の感情にまでネガティブな影響を及ぼしているとしたら……

お互いに、持たなくても良い悪感情を持っていることにならないでしょうか?

これは、1度ニュートラルな、白紙の状態に戻してみたら面白いかもしれない、と思いました。
そこで、PさんのAさんに対するネガティブなイメージを、催眠状態の中でニュートラルなイメージに変えることにしました。
潜在意識は常時上書きできるデータバンクですから、これは案外簡単にできることです。
この方法はあまりに気軽な方法なので、Pさんも「失敗して元々」という気軽な気分でチャレンジでき、ネガティブだったイメージをニュートラルな状態に変えられました。
Pさんがこのイメージ転換に気軽にチャレンジしたことも良かったのでしょう。
Pさんはイメージを変えて以来、Aさんに対して以前のような重苦しい気分で付き合わずに済むようになりました。
イメージをネガティブからニュートラルに変えたら、気分もニュートラルになったわけです。
すると、なんとAさんのほうからPさんに歩み寄って来て、いつの間にかすっかり仲良しさんになっていたのです!
お互いを嫌い合うのと同じ原理で、PさんのAさんに対するイメージがニュートラルなイメージへと変わったので、AさんのPさんに対するイメージもニュートラルになったのではないでしょうか。
そして、元々が嫌い合うほどお互いが気になっていた2人です。
お互いをナチュラルに見られるようになった時、お互いの魅力に気付いたのだと思うのですが、いかがでしょうか?

「嫌い嫌いも好きのうち」という成句がありますが、確かに「好き」という感情も「嫌い」という感情も「相手が気になっている」ということに他なりません。
ですから、嫌いな人のイメージを少し変えるだけで、嫌いであればあるほど相手の事が大好きになる可能性は高いはずです。
そして、同じ「気になる」のなら、好意であるほうがお互いにストレスが少なくなるし、お互いに楽しく過ごせるし、周囲も気分が良いし、良いことずくめだと思うんです。
……PさんとAさんは、今ではお互いの家を行き来するほどの親友になっています。